インサイドセールスとは?基礎知識と特徴やメリットを解説します!

マーケティング

がむしゃらかつ無作為に営業アプローチする従来の営業手法との決別。

成約に結びつく見込み客を選んで徐々にアプローチする「インサイドセールス」のテクニック導入は、営業手法の効率化のみならず売上にも大きな影響をもたらします。

インサイドセールスとは何か

インサイドセールスとはマーケティング・営業プロセスの一貫です。

膨大な数の見込み顧客から成約の可能性を決断し、すぐさま、受注しそうな見込みの高いリードを営業に流します。

また一方で、見込みの低いリードには、成約の可能性を高めるために、Eメールや適宣電話などの非対面でのやりとりをしながらつなぎとめる。

もしくは、既存顧客にも、追加提案や次回購入の可能性が高めるために、営業担当者に代わり継続してフォローをする営業手法です。

従来の営業手法は、営業担当者自らが見込み顧客のリストの整備→テレアポor商談設定を介して提案→クロージングまで、また、その後の、顧客フォローやアップセル・クロスセルに至る全業務の担当が一般的でした。

この手法では、顧客との連携は強化できますが、担当者に膨大な負担がかかるだけでなく、必ずしも受注につながるともいえない(質の悪い)見込み顧客を多く抱えなくてはなりません。その結果、営業効率が悪い状況につながりやすいと言えます。

インサイドセールスでは、営業担当者を見込み顧客の獲得から商談設定の流れとなります。

もしくは、受注後の顧客フォローの負担を取り除くことで、

提案からクロージングまでの業務に集中してもらうことにより、業務効率や売上の向上につなげていきます。

これにより、業務効率や売上の向上が期待できるでしょう。

次にインサイドセールスの有効性や特徴について、3つのポイントで説明していきます。

①見込み客に優先順位づけ

展示会やセミナー、Webからの資料請求の参加者リストは、具体的な商談につながる可能性が高い見込み客リストです。

しかし、このリストの中には、“少し興味があっただけ”のような即成約にはつながりにくい見込顧客から、“すぐにでも提案を聞きたい”というかなり有望な見込み客まで、ニーズの顕在化の度合いが様々な顧客に含まれております。

インサイドセールスでは、「資料請求しただけ」の見込み客には、メールや電話、DMなどでコンタクトした上で、やりとりの中からニーズ顕在化の度合いを測り、優先度の高い見込み顧客から商談のアポイントをとりつけて、その後に営業にトスアップしていきます。

ニーズ顕在化の度合いは、こちらからの問いかけへの回答など、様々な反応から判断しますが、この精度によって営業担当者の効率や、成約率が大きく左右されます。

どうやって優先順位をつけるか、営業担当者へのトスアップはどういった基準に基づく判断にするかが、インサイドセールスの有効性を左右すると言っても過言ではありません。

②見込み顧客との関係性の維持

見込み客のリストの中で、優先度が高い顧客は、もう既にニーズが顕在化しているため、速やかに営業にトスアップされ、具体的な商談に進みます。

そのため、一旦インサイドセールス担当者の手は離れることになります。

一方で優先度の低い顧客に対しては、電話による現状認識のヒアリングや、メールやDMなどの情報提供を通じて、適宜なアプローチをしながら、潜在的なニーズの刺激をすることで、成約の可能性を高めることも重要です。

資料請求やWebサイトの閲覧履歴などから得られるリストだけでは、すぐ商談につながるようなニーズが顕在化した見込み客はごく少数です。

潜在的なニーズはあっても、顧客自身がそれに気づかなかったり、予算などの制約によって諦めているなど、すぐには商談にならない顧客が大半を占めていることでしょう。

このように潜在的なニーズはあっても、成約に至るまでに、検討に長期間を要する顧客には、従来のようにニーズの顕在化まで、営業担当者がフォローするのではなく、インサイドセールス担当者が定期的に価値のある情報の発信することにより関係性を維持しながら、最適なタイミングを測ることで、営業の効率化につなげていきます。

見込み顧客との関係性を重視する点において、ニーズのレベルを問わず、アポイントを取りつけるのが目的であった従来のテレアポとは決定的な違いです。

このように、具体的な商談までに時間がかかる見込み客へのフォローをインサイドセールス部門が担当し、営業担当者はニーズが顕在化した見込顧客に集中することで、売上アップが期待できます。

③営業担当者との情報連携

先述のように、インサイドセールスは営業担当者に、提案→クロージングまでを集中してもらうために、商談獲得に至るまでの業務、あるいは受注後のフォローにかかる業務プロセスの営業担当者負担を取り除くものです。

そのため、インサイドセールスの担当者を通じた自社と顧客とのやりとりの内容に関しては、営業担当者への情報共有が必要不可欠です。

また、受注後はインサイドセールス担当者が顧客を引継ぎ、フォローしていくので、適切な顧客フォローには、インサイドセールスの担当者への、実際の商談の場におけるやりとりの内容の情報共有も不可欠になります。

このような営業担当者からインサイドセールス担当者への情報共有は、成約後の顧客フォローのみならず、①で先述した見込み客の優先順位づけにおいても非常に重要な情報になります。

インサイドセールスの効果を高めるためには、インサイドセールスで得た見込み客の情報と商談の場での顧客情報や、商談結果(合否)とを加味して、営業担当者へのトスアップの最適なタイミングの予測精度を高めることが重視されます。

インサイドセールスの効果は、このように、単にセールスプロセスの分担により、効率化を図るのみならず、限られた情報から見込み顧客の状況の予測精度を高めることにより、継続的に高まることも期待できるでしょう。

日本では、外資系IT企業などで導入が進んでいるものの、未だにこの取り組みは珍しいようです。しかし下記の引用記事にもあるように、アメリカではインサイドセールス専門の部署をおく企業も増加しており、アウトソーシング市場まで立ち上がっています。

米国においては、2008年のリーマンショック以降、インサイドセールス市場は年率平均7.5%以上で成長。2008年から3年間で80万人以上の雇用を創出しているという。
そして、2013年には営業リソースの52.7%が、インサイドリソースに割かれているという実態もある。つまり、この調査結果では、米国における営業組織体制は、訪問営業を行なうフィールドサービスよりも、電話やメールによるインサイドセールスの陣容の方が多いという状況になっているというわけだ。

引用元「ASCII.jp:時代錯誤な営業現場が変わる?インサイドセールス最前線」

国土の広いアメリカでは、フィールドセールスの担当者を多数抱えるのは非効率的なことから、インサイドセールスの導入は急速に拡大したものと思われます。

しかし国内でも、あらゆる市場においてコモディティ化が進み、競争が激化する中で、より一層の経営効率化を目指して、インサイドセールスの導入は今後、アメリカをキャッチアップする形で進むものと考えられます。

従来のテレセールスからインサイドセールスのアウトソーシング・ビジネスに参入する企業も増えていることも、国内での多数企業のインサイドセールスの導入を後押しするでしょう。

インサイドセールス導入のメリットとデメリット

先述のように、インサイドセールスは成約までのレベル感がそれぞれ異なる見込み客に対して、丁寧にコンタクトをとるなかで、ニーズの顕在化のレベルを測り、最適なフォローをするビジネスプロセスです。

このようなビジネスプロセスの導入には、下記のようにメリットとデメリットがあります。

メリット

1日にアプローチ可能な数(リード)が格段に多い

見込み顧客へのコンタクトを営業担当者が行う際、商談の合間を縫って訪問するので、1日にアプローチできる数には限界があります。
一方で、インサイドセールスでは、ニーズが顕在化しない段階の見込み顧客に対し、訪問せずにアプローチする手法なので、移動時間などを気にせず専念が可能で、営業担当者が商談の合間(片手間)に行うより格段に、多数の見込み客に接触できるのです。

少人数でも成果を上げられる

上記のように、インサイドセールスにおいては、見込み顧客のニーズが顕在化するまでの工程を担当者がフォローし、ニーズが顕在化したら、営業担当者の商談につなげていきます。

また、インサイドセールスでは見込み客を直接訪問せずにアプローチするので、1人で同時に複数の見込み客の担当が可能です。

この方式の導入で、見込み客のニーズが顕在化するまでのプロセスの担当スタッフは少人数でも充分、対応可能です。

また、営業担当者はニーズが顕在化済みの見込み客との商談に集中できるので、成約率アップも期待できるでしょう。

以上のようにインサイドセールスであれば、少人数のスタッフでニーズ顕在化までのプロセスを、営業担当者が具体的な商談を、それぞれ集中して担当することで、成果獲得までの効率性改善にも役立つと思われます。

業務の標準化により属人化を防止できる

全てのプロセスを営業担当者が担当する流れだと、ニーズ顕在化の度合いの判断、メールや電話、対面での面会の機会にどこまで踏み込むかなど、見込み客とのコミュニケーション全般が営業担当者自身の判断によって左右します。

このことは、ビジネスにおいて、とても大事である見込み客との関係構築という業務が属人化しており、営業担当者の異動・転職などがきっかけで顧客関係の不安定化や顧客の離反に繋がりかねません。

インサイドセールスにおいては、見込み顧客のニーズ顕在化の度合いを、様々なサインからの判断が求められます。

見込み客からの反応は、どうコンタクトしたか、といったコンタクト方法によっても違いますが、さらに、その反応をどう判断するのかについても、担当者ごとに解釈が違ってしまう恐れがあります。

先述の通り、見込み客からのサインの判断精度は、商談を行う営業担当者の効率や成約率にも大きな影響をあたえることから、これらの判断基準は、なるべく標準化し、担当者間もしくは担当部門内で共有しておくことが最も重要視するべきこともいえるでしょう。

このようにインサイドセールスでは見込み客とのコンタクトの方法や見込み客がどのような反応をしたのかなどの判断など、商談に至るまでの業務を大幅に標準化することになります。

このようにインサイドセールスの導入や運営にあたり、業務を標準化することは、見込み客との関係構築の過程において属人化のリスク軽減にもつながるでしょう。

業務効率化による人手不足対策

お伝えした通り、人口減少が加速する日本において、あらゆる業種・業界で慢性的な人手不足であり、それは今後確実に深刻化する問題です。

インサイドセールスであれば、先述のように小数でも成果につながるので、見込み客との関係構築→商談までの過程全体の業務効率化と、これらのプロセスに充当する人材も限定可能になります。

これは、インサイドセールスが今後さらに深刻化する人手不足への対策としても効果的であるといえます。

デメリット

適切な情報共有ができる仕組みが必要になる

見込み客のニーズの顕在化→営業担当者との連携までの間には、インサイドセールス担当者は見込み客に、いろいろなコンタクト手段でアプローチを重ねます。

こうした担当者や担当部門を通じた自社と顧客とのやりとりの内容には、商談する営業担当者への情報共有が不可欠です。

また、同一の見込み客に対して、インサイドセールス部門のなかでも複数の担当者がそれぞれコンタクトするやり方だと、見込み客の混乱を招かないように、これらの担当者の間でも精度の高い情報共有が求められます。
このような、インサイドセールスの担当者や担当部門と営業担当者、インサイドセールスの担当部門内での情報共有を、見込み顧客との円滑なコミュニケーションや商談の精度向上につなげるには、あらかじめ、必要な情報を適宜適切に共有可能なツールや仕組みを用意する必要があるといえます。

顧客に商品の魅力を伝えきれない場合がある

インサイドセールスは、見込み顧客と直に対面せずに、アプローチを重ね、ニーズ顕在化のタイミングを待ちます。

この間のアプローチでは、自社の商品・サービスの情報についても提供することになりますが、営業担当者が対面で説明するのと違い、表情が見えない分、見込み客の反応をつかむのが難しいです。

対面での説明の際には、見込み客の表情の変化から説明の理解度や興味・関心のレベルなどを推し測り、言い回しを変えるなどの工夫ができますが、インサイドセールスではメールや電話を通してなので、相手の表情が見えず、商品・サービスの魅力を十分に伝えられない場合もあるでしょう。

1度も対面したことがない場合、信頼されづらい

さらに、インサイドセールスだとその仕組みゆえに、見込み顧客に直接会う機会がないです。

よって、見込み客が担当者本人であるかの確認や内容が信頼できるかを判断する材料は、直接相対する営業担当者とは違い、メールの文章や電話での話し方、声のトーンなどに絞られます。

これらの点から、インサイドセールス担当者は営業担当者に比べ、見込み顧客の信頼が獲得困難な可能性があります。

インサイドセールスの活動参考事例

B2Bマーケティングシーンでの手法をいくつか解説します。

セミナー・イベント、ホワイトペーパーの入手者のフォロー

企業主催のセミナー・イベントは、見込み客発掘の手段として、幅広く活用されております。

また、ITベンダーを中心に、技術関連の情報やマーケティング先進事例などを紹介するホワイトペーパーを公表する企業も増加しております。

セミナーやイベントでは、自社の製品・サービスの関連領域における先進的な施策を行っている企業担当者や著名人などを講師として招くことにより、集客効果が期待できます。

また、事前申込みや当日の名刺交換などにより大量の見込み顧客を獲得することが可能です。

しかし、セミナーやイベント参加者は、ニーズが顕在化済みの方から、ちょっと興味があるくらいの潜在的なニーズに留まる人までいろいろなレベルにあります。

また、ホワイトペーパーの場合でも、提供の見返りに氏名や企業名、連絡先などの個人情報を提供させることで、有望な見込み顧客のリストを入手することができる反面、セミナー等の参加者と同じく、ニーズの度合いは個々に違っています。

従来だと、これらの見込み客に営業担当者が分担してコンタクトして、見込み顧客のニーズ顕在化の度合いに応じて個々にフォローするしかありませんでした。

インサイドセールスであれば、こういったいろいろな度合いの見込み客に、電話等でコンタクトするなかで優先順位をつけることができます。

優先度の低い見込み客は、インサイドセールス部門が継続的にフォローするなかで、改善するタイミングを測り、優先度が高い見込み客へは、すみやかにアポをとり、営業担当者に連携することにより営業効率の最大化が目指せるのではないでしょうか。

既存顧客のフォロー・解約防止

既存顧客には、従来、営業担当者がひとりで定期的にフォローして関係を維持・強化するなかで、顧客の離脱を防ぎつつ、新たなニーズを発掘し、次回購入や追加提案につなげるのが一般的でした。

しかし既存顧客とはいえ、商材によっては購入頻度が低く、次回の購入まで時間がかかったり、追加提案までの新たなニーズの顕在化が困難なことは多いものと言えるでしょう。

営業担当者側も、既存顧客のフォローより有望な見込み客へ力を注いだ方が売上の拡大につながる場合も多いと考えられます。

インサイドセールスでは、電話やメールなどを用いて既存顧客を定期的にアプローチすることにより、既存顧客の離脱の兆候や、次回購入や追加提案に結びつける機会を探り、顧客との関係を維持・強化する役割を担います。

また、営業担当者が提案・クロージングの業務に専念できる環境を作ることにより、業務効率化や売上拡大につなげることが可能になります。

インサイドセールス成功事例まとめ

インサイドセールスを取り入れることで、実際に売上拡大につながった成功事例を2つご紹介します。

【日本マイクロソフト 】

日本マイクロソフト社では、以前は、法人営業部内にて従事していたテレセールス部隊を、一定台数の同社ライセンスを所有する中堅・中小企業を対象のインサイドセールス部門に集約して、法人顧客には電話でのやりとりを介して課題解決や製品の提案を行っています。

インサイドセールス部門では、売上をKPIに設定し、フィールドセールスと共有して、成約率を20%以上、向上させているようです。

【Merchant Industry 】

POSサービス、決済サービスなど、小売業向けの金融サービスを展開するアメリカのMerchant Industry社では、以前、Excelのスプレッドシートにより手作業で行っていた見込み客の管理にシステム導入することでインサイドセールス部門の機能を強化しました。

また、これにより営業(外勤)部門の生産性も向上しています。

実際に、直近の3年間には、なんと成約率を736%に向上させることに成功しているのです。

インサイドセールスを支えるテクノロジーとマーケティングオートメーション

インサイドセールスをターゲットにしたプラットフォームには、多種類のものが登場しております。

代表的なプラットフォームの“InsideSales.com”では、見込み客について、優先順位に沿ったボイスメッセージ、ワンクリックコールやメールなどにより、見込み客とのコミュニケーションの実現が可能です。

また、メールやWebサイトの履歴データに基づき、早期に購買に結びつく効果的なメール作成の支援、リアルタイムで見込み顧客の購買の兆候の把握により、営業担当者にアラートを発し、営業担当者のクロージングをサポートします。

また、見込み客へのコールのタイミングや、インサイドセールス担当者から営業担当者に引き継ぐタイミングは、過去の購買履歴や接触履歴などのデータより自動的に分析されます。

営業担当者はそれぞれの見込み客の最新情報を、携帯端末で常に確認できるほか、ゲーミフィケーションの技術によって、セールスプロセスは可視化され、営業担当者間の競争心をかき立てることにもつながります。

一方、コンタクトセンターのクラウドサービス“Five9”では、コール先の“話し中”状態やボイスメール、ファックス、無応答を検出・フィルタリング可能なオートダイヤルの機能によって、待機時間を削減しています。

また、見込み客の質により、トークスクリプトが違うなど、インサイドセールスの担当者には複雑なコミュニケーションが必要なので、コール前には自動で次のコール先の情報を表示することで担当者をサポートしています。

また、マーケティングオートメーションにより、同じアプローチもできます。

マーケティングオートメーションのプラットフォームにもいろいろありますが、SATORIでも顧客のセグメントごと、もしくは個々の顧客ごとに、ポップアップ配信やウェブバナー、メール送信を行い、定期的な顧客とのコミュニケーションが可能です。

また、顧客の動きにあわせて設定した社内アドレスに通知することにより、インサイドセールス部門にコールを催促する、といった使い方もできるでしょう。

あらゆる業界におけるコモディティ化が進行するなかで、顧客の獲得や利益の最大化を継続して実現するには、経営の効率化は不可欠です。

インサイドセールスは、旧来の営業活動における非効率性から脱却し、顧客との関係性を維持・強化する施策として、今後いろいろな業界で拡がっていくことが予想されます。

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