ハウスメーカーの性能値一覧

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ハウスメーカーを選択するにあたって、住宅性能は重要視するべきです。 どれだけお気に入りのデザインであっても、快適に過ごすことが出来る家でなければ住み続けることは難しい為です。

ほとんどのハウスメーカーは住宅性能の高さを強みにしています。 ただ、本当に住宅性能が高いといえるのかどうかは、客観的な指標を見なければ分かりません。
そのため、住宅性能の代表的な指標であるC値・Q値・UA値については、ぜひ把握しておきたい点です。 この記事では、ハウスメーカー25社が発表しているC値・Q値・UA値の一覧と、数値を見る際の注意点を3つご説明いたします。

C値・Q値・UA値は小さい数値ほど性能が高い

C値は気密性能、Q値とUA値は断熱性能を表す数値です。 C値・Q値・UA値のいずれも、小さい数値ほど性能が優れていると判断できます。

ただし、C値・Q値・UA値については、性能の上下をはっきりと区切る絶対的な基準がありません。 なので、この記事ではHEAT20 G2グレード相当をクリアすべき基準、G3グレード相当を現状の最高基準としてお話しします。

日本の基準を満たしても高性能とはいえない

日本の住宅に設けられた省エネ基準は、世界レベルで考慮すると非常に低い水準にあります。 そこで、代替えとして高性能の基準として使用されているものがHEAT20(ヒートにじゅう)です。 HEAT20には低い方からG1・G2・G3グレードがあり、G2グレード以上あれば十分優れた性能だと判断されます。 なお、G3グレードになると、世界トップクラスであるドイツのパッシブハウス(快適かつ省エネを追求した住宅のこと)に相当します。

参考 一般社団法人 20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会
一般社団法人 20年先を見据えた日本の高断熱住宅研究会

C値は1.0以下であれば高気密

C値とは、家全体のすき間を合計した面積を床面積で割ったものです。

C値 = 建物全体のすき間面積 ÷ 延べ床面積

※C値は相当すき間面積を表す数値。単位は「cm2/㎡」。

C値はすき間の少なさを示すため、小さいほど気密性能が高くなります。 C値は少なくとも1.0以下、できれば0.2以下が欲しいところです。

C値
クリアすべき基準1.0
現状の最高基準0.2

Q値は1.6以下であれば高断熱

Q値とは、家全体から抜けていく熱量を床面積で割ったものです。 抜けていく熱量には換気も含まれます。

Q値 = ( 建物各部から逃げる熱量 + 換気で失う熱量 ) ÷ 延べ床面積

※Q値は熱損失係数を表す数値。単位は「W/㎡K」。

Q値が小さいほど屋外へ抜けていく熱量は少なくなるため、断熱性能が良くなります。Q値は少なくとも1.6以下、できれば1.0以下であるのが理想です。

Q値
クリアすべき基準1.6
現状の最高基準1.0

UA値は0.46以下であれば高断熱

UA値とは、家全体から抜けていく熱量を家の表面積で平均したものです。 Q値とは異なり、換気で逃げる熱量は配慮されません。

UA値 = 建物各部から逃げる熱量 ÷ 建物の表面積

※UA値は外皮平均熱貫流率を表す数値。単位は「W/㎡K」。

UA値は小さくなるほど断熱性能が良いと判断されます。UA値は少なくとも0.46以下、できれば0.26以下であるのが好ましいといえます。

UA値
クリアすべき基準0.46
現状の最高基準0.26

なお、Q値とUA値はともに断熱性能を示しますが、国は現在UA値の方にこだわっています。 なぜなら、UA値はQ値と異なり建物の大きさや形状で変動しないからです。 ただ、UA値は換気で抜けていく熱量が配慮されないため、実際の室温とかけ離れたりする場合があります。 このようにQ値とUA値には一長一短があるため、どちらの数値が優れているとは言い切ることは出来ません。 できれば、両方の数値で比べていきたいところです。

参考 【鹿児島】断熱性能のQ値とUA値。どちらが大事?
丸久の家創り&HANA・COCO

ハウスメーカー25社のC値・Q値・UA値を比べてみよう

ハウスメーカーのほとんどは、C値・Q値・UA値のいずれか、または全部を発表しています。自信を有しているからこそハウスメーカーは数値を発表する次第ですが、1社を見ただけでは本当に優れた性能だとは断定できません。そこで、ハウスメーカー25社が発表しているC値・Q値・UA値を一覧にまとめました。是非ご覧ください。

C値Q値UA値備考
クリアすべき基準1.01.60.46HEAT20 G2グレード相当
現状の最高基準0.21.00.26HEAT20 G3グレード相当
アイフルホーム0.540.32関東の場合。
アエラホーム0.470.39クラージュ標準プランの試算値。
一条工務店0.510.25「i-smart」モデルの場合。
ウェルネストホーム0.20.28
FPの家0.970.37東京モデルの場合。札幌モデルはQ値0.44、UA値0.16。
クレバリーホーム0.28「ENELITE」の場合。
サンヨーホームズ1.90.5鉄骨系。
住友不動産1.480.42Q値は「J・SKY SMART」、UA値は「2×6住宅」の場合。
住友林業1.920.46
スウェーデンハウス0.71.140.42
セキスイハイム0.99『シェダン』札幌モデルハウスの場合。
セルコホーム0.4920.37「THE HOME」の場合。
ダイワハウス2.150.6鉄骨系。
トヨタウッドユーホーム0.80.34「Forwarding Stage – 2×8」の場合
トヨタホーム1.80.70鉄骨系。
ミサワホーム1.80.42鉄骨系。高断熱仕様の場合。
三井ホーム1.980.462016年モデル「グリーンズゼロ」の場合。
パナソニックホームズ2.70.6鉄骨系。
桧家住宅0.8断熱材「アクアフォーム」を使用した場合。
フィアスホーム0.580.880.322015年モデル『アリエッタDS』の数値。
ヘーベルハウス(旭化成ホームズ)2.70.6鉄骨系。
北洲ハウジング0.940.23UA値は「PREMIUM PASSIVE HOUSE」の場合。
ポラスグループ1.60.5HaScasaの2×6工法の場合。
ヤマダホームズ1.01.28北海道・寒冷地向けSPシリーズの場合。
ヤマト住建0.50.28「エネージュUW」の場合。

※一部の数値は、HEAT20やZEHといった制度から推測しています。

※赤字は「現状の最高基準」をクリアした数値です。ただし、セキスイハイムは札幌モデルなので除外しています。

※アキュラホーム・飯田産業・木下工務店・積水ハウス・タマホーム・三菱地所ホーム・ユニバーサルホームは、資料が見当たらなかったため一覧に掲載していません。

断熱性能においては、一条工務店が頭一つ抜けています。 また、東日本を中心に展開する北洲ハウジングも断熱性能が高めです。

気密性能ついては、ウェルネストホームがトップの数値を誇っています。 ちなみに、鉄骨は木よりも熱を通しやすいため、トヨタホームやヘーベルハウスなどの鉄骨系の住宅は総じて断熱性能が低めです。

ただ、3階建て以上を実現しやすい、耐震性が高いといった、Q値・UA値では測定しきれない魅力が鉄骨系の住宅には存在します。鉄骨系の住宅にご興味を持っている方は、断熱性能の低さをどのように補っているのか会社ごとにチェックしてみたほうがいいでしょう。

C値・Q値・UA値に関連する3つの注意点

ハウスメーカーがC値・Q値・UA値を発表するのは、自社の商品を広める以外に目的はありません。であるため、通常では望ましいデータしか発表されませんし、データ自体にも良く見せる為の工夫が施されています。
したがって、各社が発表しているC値・Q値・UA値の通りに、実際の住宅が建てられるとは限りません。 そこで、ハウスメーカーが発表するC値・Q値・UA値に関連する3つの注意しなければならない点をお教えします。

1.寒冷地モデルの数値を発表しているケースがある

C値・Q値・UA値でハウスメーカーを比べるときは、住宅モデルの地域を必ず調べるようにしましょう。 理由としては、北海道など寒冷地モデルを使って宣伝しているケースがあるためです。

全国に進出しているハウスメーカーであれば、関東地方の職人さんでは寒冷地モデルが建てられない恐れが存在しています。 標準モデルは寒冷地モデルよりC値・Q値・UA値について劣るため注意が必要です。

2.C値を発表しないハウスメーカーが多々ある

先ほどお見せした表でも分かる通り、C値を発表していないハウスメーカーはそこそこ存在しています。 C値の測定は新築が出来上がったあとに実施する必要があり、ハウスメーカーにとって負担のかかる作業のためです。

実は、2009年の省エネ法改正で、国の基準からC値に関連する規定は削除されています。 したがって、今はハウスメーカーにC値を測定する必要性は存在しません。

とはいえ、気密性能を表すC値はとても大切なデータです。 なので、C値に自信があるハウスメーカーは、義務の有無に関係なく発表しています。
C値を発表していないハウスメーカーは、営業担当さんなどに確認をしてみた方がよいでしょう。 C値を発表したがらないハウスメーカーであれば、住宅性能はあまり期待できないともとれるからです。

3.Q値とUA値はハウスメーカーが意図的に操作できる

数値ほど比べやすいものはありません。Q値を例に挙げると、0.5のA社と1.0のB社であればA社の方が優れていると断定できます。

ただし、Q値やUA値の算出条件はハウスメーカーごとに変わるため、比べる際は注意が必要となります。 あらためて、Q値の計算式を見ていきましょう。

Q値 = ( 建物各部から逃げる熱量 + 換気で失う熱量 ) ÷ 延べ床面積

分母は延べ床面積です。 なので、延べ床面積を大きく設定するほど、Q値は小さくなります。

  • 分子の熱量を1、分母の延べ床面積を1とした場合
    Q値 = 1 ÷ 1 = 1
  • 分母の延べ床面積を1.3倍にした場合
    Q値 = 1 ÷ 1.3 ≒ 0.77

日本の一般的な戸建て住宅は約35坪です。 もしハウスメーカーが50坪以上で算出していたら、そのQ値はあまり参考になりません。 ちなみに、UA値も意識的に数値を良く見せることが可能です。 UA値の計算式を、もう一度見てみましょう。

UA値 = 建物各部から逃げる熱量 ÷ 建物の表面積

建物各部とは、床・外壁・屋根・窓などのことを指しています。このうち、最も熱が抜けやすいのは窓です。 したがって、窓の面積を小さくすることで「建物各部から逃げる熱量」を抑える事ができ、UA値を小さく見せることができます。
このように、Q値とUA値は意識的に操作できてしまうので注意が必要です。

まとめ

本記事では、ハウスメーカーが発表しているC値・Q値・UA値の一覧と、数値を見る際の注意点を3つ解説いたしました。

ハウスメーカーはC値・Q値・UA値を宣伝に使用しています。 住宅性能に自信のあるハウスメーカーなら、公式サイトやカタログなどでC値・Q値・UA値を把握することが出来るでしょう。

ただし、C値・Q値・UA値については、下記に挙げる3つの注意点が存在します。

  • 1.寒冷地モデルの数値を発表している可能性がある
  • 2.C値を発表しないハウスメーカーが多い
  • 3.Q値とUA値はハウスメーカーが意識的に操作できる

数値は確実なものとは限りません。前提条件が同じでなければ、正しく比べる事ができないためです。

C値・Q値・UA値を使ってハウスメーカーを比較するときは、上記の3点を強く頭に入れておきましょう。そのことを知ったうえで、あらためてハウスメーカーごとのC値・Q値・UA値を比べてみてください。

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